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食器館コラムVol8~常滑焼 急須の礎は朱く硬く~

食器館コラムVol8~常滑焼 急須の礎は朱く硬く~

 

常滑焼は愛知県常滑市周辺で製造される炻器の総称です。鉄分を多く含んだ土を使って作られているため、焼き上げると朱泥と呼ばれる赤褐色の作品ができ上がります。その代表格とも言われる朱泥急須は、現代の急須の形の基になったとも言われています。

 

【常滑焼の特徴】

前回ご紹介した備前焼と同じく炻器と呼ばれる吸水性が少なく、かつ非常に硬く焼き締められる常滑焼ですが、備前焼とは異なる性質も持ち合わせています。原料となる土に鉄分が多く含まれていますが、常滑焼は焼き上げると赤褐色の製品になります。また備前焼は表面がごつごつしているものも多く作られていますが、常滑焼はどちらかというと滑らかな表面の作品が多く作られています。近年では釉薬を使ったり化学反応を駆使して緑泥や黒泥などの作品も作られています。

 

【常滑焼の歴史】

特徴の面でもかなり似ていた常滑焼と備前焼でしたが、実は歴史的にもかなり関連性があります。常滑焼は備前焼の歴史の際にご説明した日本六古窯のひとつでもあります。平安時代にはすでに常滑焼は作られており、その時代の常滑焼は古常滑と呼ばれています。土が非常にきめ細かく、頑丈な焼き上がりとなるため甕(かめ)など大型の作品に向いていました。
現代でも盛んにつくられており、梅干しなどをつける際に良く用いられる茶色の甕が実は常滑焼なのです。備前焼と比べると少し遅れて、江戸時代後期には茶道文化の流れを受け急須の製造が盛んに行われました。その後も技術の向上が図られ、20世紀末には常滑焼として初の人間国宝も生まれるほどに日本の伝統工芸品としての地位を高めていきました。

 

【常滑焼の有名な作家】

ここからは常滑焼の中で知名度の高い作家・窯元について数例ご紹介していきます。

①三代 山田常山
三代 山田常山は常滑焼の作家で、常滑焼で初めて人間国宝に認定されました。
祖父である初代、並びに父である二代目に師事し、伝統的なものから近代的なものまで幅広いデザインの作品を生み出しました。

 

②山田宝生
山田宝生は常滑焼の作家です。緻密な彫刻で知られ、特に梅・菊・牡丹など花紋の彫刻作品が多く作られています。そのデザイン性の高さから国内外で人気が高く、常滑焼を代表する名工として知られています。

 

③吉川雪堂
吉川雪堂は常滑焼の作家です。当代は二代目です。雪堂は滑らかな表面と茶こしの技術に大変秀でている作家です。また彫師として活躍する兄:壺堂との共作でも知られ、東海道五十三次など浮世絵のデザイン作品が多く作られています。

 

【こんな常滑焼を販売していました】

①山田宝生 富貴牡丹紋 朱泥急須


こちらは先ほどご紹介した山田宝生作の富貴牡丹紋 朱泥急須です。
「富貴」は裕福な様子を表す言葉で、まさに描かれている大型の牡丹にぴったりな文言です。

 

②吉川雪堂 壺堂刀 緑泥三足急須


続いても先ほどご紹介した吉川雪堂作の 緑泥三足急須です。
兄の壺堂による彫刻が大変すばらしい作品です。

 

③鯉江桂吉 黒泥丸形十草帯網急須


こちらは鯉江桂吉作の黒泥丸型十草帯網急須です。昭萠窯の当主でもあり、多くの作品を生み出しています。

 

いかがだったでしょうか。これらはすでに販売済みの商品のため、現在店頭にはございませんが、食器館では他にもたくさんの常滑焼を取り扱っております。お店を訪れる際には、ぜひ常滑焼をチェックしてみてください。

 

またこのHPではこれら以外にも過去に取り扱っていた常滑焼をギャラリーとして紹介しております。

ギャラリー(常滑焼)

 

【おわりに】

常滑焼はその代表的な朱泥急須をはじめとして、茶道具を中心にこれまで長く愛されてきました。身近な存在でありながら、伝統工芸として多くの作家が趣向を凝らして様々な作品を生み出しています。今回のコラムで常滑焼の魅力について知っていただけたら大変うれしく思います。それではまた次回のコラムでお会いしましょう。